OTNK日記

20代。ゲイ。種々雑多な日記。

サクラップ 素直にGood!!

 サクラップというものをご存知だろうか。国民的人気アイドルグループ「嵐」櫻井翔が作詞し曲中で歌うラップ部分をサクラップと呼んでいる。このサクラップ、ラップとつく通り勿論ラップをしているのだが、その評価は見事に賛否両論だ。ラップ保守派からすれば、あれはラップではないとなるらしい。革新派からみれば、アイドルとラップの融合による新基軸のラップとなるらしい。櫻井翔という影響力のある人間の作り出すラップを中心にその是非は渦巻く海流のようなうねりをみせている。自分もそれに魅せられた一人として、サクラップについてちょっと触れていく。

まずサクラップは、2002年のアルバム『HERE WE GO!』に収録されている曲「ALL or NOTHING Ver.1.02」から登場している。そして2003年のシングル「言葉よりも大切なもの」以降のラップは櫻井翔が全て手がけている。そのラップの特徴はやはり櫻井自身の生い立ちの良さに起因する上品さにあるだろう。つまり慶応大卒の頭脳から繰り出されるお上品ラップだ。更にサクラップはラップの中でも韻を踏むことより歌詞の繋がりに重きを置いている。ラップにおいては韻を踏むことは大前提にある。漢 a.k.a.GAMIに代表される頭韻ラップや、鎮座に代表される脚韻ラップ。押韻することによってリリックに印象をつけ、更に聞きやすさを持たせている。

押韻を意識しないラップ、というスタイルをサクラップは持っている。これがラップ保守派からすれば批判の的となるのだが…そんなことは関係ない。なぜならサクラップはあくまで嵐の曲中に添えられるものであるからである。J-popの中でのラップである。ラッパーが自らを際出たせるために曲にラップを乗せていくのとは違い、サクラップは嵐の楽曲を引き立たせるためにラップを乗せている。ここに大きな違いがある。なので、本格派ラップを聴きたい人には物足りないかもしれない。あくまで彼のラップは“サクラップ”なのである。

この流れで人気のサクラップを紹介。

 

"あの日 君は僕になんて言ってたっけ..."

なんて言ったってもう関係ないね

散々会って 段々分かって 季節迫り来て散々泣いて

君は君 夢 でっかく描いて

僕はここから成功を願ってる

「待ってるだけじゃ明日はないから

動いた ここじゃ始まらないから」

 

嵐の隠れ名曲として名高い「Still…」の一節だ。この歌は櫻井が海外に旅立つ友人を想って書いたとされている歌詞だ。まず始め。

"あの日 君は僕になんて言ってたっけ..."

なんて言ったってもう関係ないね

ここは実はめちゃくちゃレベルが高いサクラップだ。「あの日 君は僕に」で音を詰めてサクラップ独特の歌詞の繋がりを重視しながらも、「なんて」のa-n-eの音で頭韻を踏みつつも更に、「たっけ」「たって」「ないね」で脚韻も踏んでいる。いきなり耳心地が良い。テンポも相まって歌いたくなる。

散々会って 段々分かって 季節迫り来て散々泣いて

「散々」のa-n-a-nで踏みつつ「会って」のa-eで韻を踏んでいる。ここまでみると正統派ラップだが、サクラップだから勿論変化球がある。それは間に差し込まれた「季節迫り来て」だ。なぜ挟む。a-n-a-nの繰り返しでテンポ良くしつつも、急に壊す。ミスチルばりに歌詞を詰めてくる。あっぱれだ。

君は君 夢 でっかく描いて

僕はここから成功を願ってる

ここにいたっては全く韻を踏んでいない。これがサクラップの真骨頂だ。歌詞が先行しすぎて思わず韻を踏むのを忘れているのかと思う。うっかりだったらかなり可愛い。しかし恐らく意図的だ。慶応大の頭脳にファンはタジタジである。

「待ってるだけじゃ明日はないから

動いた ここじゃ始まらないから」

「から」で脚韻を踏んでいる。脚韻を踏んで音の抜けを意識しつつも、前半は言いたいことを言いまくっている。想いがあふれている結果だろう。この後もラップが続き、そしてラスサビに乗っかっていく。このサビとラップの交錯もまた嵐の楽曲の魅力の一つのだが、それに言及を始めるとまた長いので今回は割愛。

一部ではあるが、サクラップの紹介をした。嵐の楽曲はお金かけているだけあって質が高い。その質の高さに添えられるお上品ラップ。これが負けず劣らずってんだからサクラップの凄さも垣間見えるだろう。侮るべからず、サクラップ。アイドルの歌だと食わず嫌いせずに是非聴いてみてほしい。

 

All the BEST! 1999-2009(通常盤)(CD2枚組)

All the BEST! 1999-2009(通常盤)(CD2枚組)