おぱんつの胎動
ズボンのことパンツって言いますか？
それともパンツのことズボンって言いますか？
最早、なにがなんだか分からない。ズボンって実はパンツって呼びますセンセーションが中途半端に広まったせいで、パンツ自体の存在が実にあやふやなものになっている。
特別ファッションに強くない人種からすれば、ズボンをパンツと呼ぶのは若干憚られる。なぜならパンツには先客がいるのだ。パンツもといズボンの下に履く下着のパンツである。
あのセンセーションはいつから巻き起こったものなのか。いわゆるちょっとしたオシャレ文化。鍋つかみをミトンと言ったり肌色をベージュと言ったりするアレ。横文字多用の文化はどこから始まったのだろうか。ルーか？ルー大柴からなのだろうか。
横文字多用の文化の中でも、ズボンをパンツと呼ぶ風潮は一大勢力だ。往年のギャグ「パンツー丸見えー」がこの文化により駆逐されたといっていい。なんたって常時丸見えなのだ。
ズボンがパンツに成り代わっているのは認めるほかない。一般観念として知らなきゃ恥ずかしいレベルのものまで昇華している。パンツの支配は相当に広がっている。
それであれば、それであればだ。従来のパンツにも新しい呼称を与えてあげるべきではないか。新パンツが旧パンツのシェアを奪ってなにもしないというのはあまりに優しさがない。新パンツ、残酷である。今、時代に取り残されている気分を味わっている旧パンツがあまりに気の毒である。
おパンツと呼ぶのはどうだろうか。
おパンツと言ってしまえば、それはもう下着でしかなくなる。お、という丁寧語的表現を使うことにより、旧パンツへの配慮も見受けられる。なによりも新パンツとの差別化だ。パンツがセンセーションにより纏ったオシャレオーラは次元の彼方に吹き飛び、純粋無垢なあられもない旧パンツの姿が浮かび上がる。
欠点としては若干こっ恥ずかしいくらいか。文字でも恥ずかしいのだから口に出せばそれはそれは、といった感じだ。しかし、この呼称の当座の問題と比べれば些事であろう。
一刻も早くこの呼称問題の線引きをして欲しい所存だ。上記案を、TGCとかで宣伝して欲しい。CanCanで特集を組んで欲しいくらいだ。
現状は、旧パンツをGANTZのアクセントで呼び、新パンツをNARUTOのアクセントで呼ぶといったいっぱいいっぱいの抵抗で場を凌いでいる。正直苦しい。何とかして欲しい。
スクランブル交差点のど真ん中で「パンツ！」と叫んでも誰も下着を想像しない未来は訪れるのか。
その未来を願って、ここに筆を置く。
