OTNK日記

20代。ゲイ。種々雑多な日記。

体の傷にはオロナイン、じゃあ心の傷には…?

祖父はオロナインが好きだった。あらゆる傷、化膿、虫刺され、吹き出物にオロナインを常用していた。

小さな頃祖父の家に遊びに行った際に、オロナインの大ボトルが常備されていたのを今でも覚えている。祖父の家で怪我をした時には、もれなくオロナインを塗りたくられた。ベタベタするのを意に介さず、塗りたくまくられた。

それに母親は反発していた。適材適所。そのオロナイン教の教えに反する形として実家は、擦り傷にはマキロン、化膿にはゲンタシン、虫刺されかゆみにはムヒといったなるたけの適材適所を心がけていたと思う。

 

時が経ち、自分は実家を出て一人暮らしをすることとなった。

人が暮らす家には常識的に常備薬というものが必要になる。突然の怪我、体調不良にもとりあえずの応急処置をするために常備薬は必要になってくる。

しかし、一人暮らしとなると大して使いもしない薬を大量に抱えるのも、少し無駄のように感じる。なにかあらゆる外傷に効く薬はないものだろうか...ないものか...おろおろ...ないか...おろ...ない...オロナイン!

そうであった、オロナインがあった。オールインワンメディスン。祖父が好きであったオロナイン。

そんなこんなで我が家にはオロナインが常備されることが満場一致で決定した。満場一致といっても一人の採決ではあるが。手を挙げてもひとり。今なら尾崎放哉の気持ちも少しは分かる。

 

そして先日、オロナインの初登板の試合があった。ガスコンロ周りを掃除している最中、思わずコンロ本体に触れてしまい火傷を負ったのだ。しかも、少し裂傷気味であった。とりあえずは氷水で冷やしたが、どうも腫れと痛みが引く気配を見せない。我慢できなくない程の痛みに耐える日が続いたが、そこでふとオロナインの登板を思いついたわけだ。

治るんじゃないだろうか、オロナイン。祖父をあそこまで心酔させたオールインワンメディスンの力を見せてもらおうじゃないか。

患部にオロナインを塗ってしばし待った。するとどうであろう、オロナインを塗った日を境に腫れと痛みはどんどん引いていったのである。

強い...オロナインはなんにでも効くとは真だったのか。ここまでの圧倒的自力を見せつけられるとこちらもオロナインの力を認めざるを得なくなる。こうして自分は祖父と同じ道を歩みだしたのである。

 

しかし、後日調べてみるとオロナインでの処置は問題だったことに気づいた。やけどに自己判断で軟膏は塗ってはダメらしい。オロナインは悪い菌も殺すが同時に良い菌も殺してしまうらしい。なので、やけどが深刻化した場合に医者の診療が難しくなってしまうのだ。なんてこった、オロナイン。強すぎたのかオロナイン。連邦のオロナインは化け物か。

オロナインは軽い傷やにきび治療の時に効果を発揮するらしい。しかし、あくまで第2類医薬品。過信は禁物だ。

 

祖父が愛したオロナイン。祖父と同じ轍の上を歩くことは大変誉れ高いが、やはり後塵を拝するだけではダメらしい。自分は自分なりの道を歩もう。オロナインがそう教えてくれた気がした。

 

轍-わだち-

轍-わだち-