OTNK日記

20代。ゲイ。種々雑多な日記。

『ペンギン・ハイウェイ』の感想を遅ればせながら書きました

もう9月も最終日らしい。明日から10月と考えるとびっくりビビンバだ。今年は時間の流れが早いってものじゃなくて、確実に時間が飛んでいるとしか考えられないスピード感だ。

具体的に言うと今年は7月から9月の中旬あたりまでがなかった。今年は6月30日が終わると同時に9月の16日が来た。飛んでいる。時間が実際に飛んでいるのである。私たちはその科学ではどうにも解明できない”未知”について解明しなければならない。

 

なんていうSF(少し不思議)チックな導入は置いておいて、今回は森見登美彦の作品である『ペンギン・ハイウェイ』について感想を書いていこうと思う。

 

読むきっかけ

最近、私個人のTwitter@omochinsukou)で友人(@1995torara)とTwitterLiveにて読書感想会というのを行っている。

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(これはTwitterLiveのタイトル画像。友人(@1995torara)の友人が描いてくれた。マジ感謝である。ちなみに右側が自分だ。人畜無害感がよく出ているが、実際はもっと悪辣な顔をしている。)

 

そのTwitterLiveにて次回、感想を交流し合う課題図書がこの森見登美彦の『ペンギン・ハイウェイ』だったというわけだ。

当作品はアニメ映画化もされているので名前くらいは知ってはいたが、実際に見たことはない。森見作品も『四畳半神話体系』や『有頂天家族』などの作品は読んでいたが、こちらは未読。とりあえず読んでみるか~と思って読み始めたのだが、これがめちゃくちゃ面白い。もうめちゃくちゃ面白いのである。

 

※以降はネタバレを多く含みますし、作品を読んでる・見てる前提でテンション高めに語ってます。

 

さっぱりとした青春ファンタジーと奥深いSF的哲学

本作の良さはなんといっても幼少期の様々な感情を想起させる青春ファンタジーを表っ面に被りながら、哲学的なSF作品のような奥深さを併せ持っている点だ。

ペンギンという可愛らしい設定だったりお姉さんのおっぱいなどの分かりやすい面白さとアオヤマ君を中心とした冒険活劇を中心とした青春ファンタジーも然ることながら、「世界の果て」とはなにか、「死」とはなにかなんていうSF・哲学の要素も入ってる本作は、作品自体の世界の広がりがめちゃくちゃ広い。

老若男女が楽しめる作品だ。更には、繰り返し見てもその時々によって印象が変わる作品とも言える。

 

幼少期の感情が蘇る

主人公のアオヤマ君はペンギンや海、お姉さんという大きな謎を解明しようとする。その姿は、知らない事ばかりで世界は未知に満ちていた自分の幼少期を思い出さずにはいられない。

自分もこういう所冒険したな...とか小学校の時に好きだった人いたな...とかを思い出し、幼少期の瑞々しい感情が溢れかえってくる。そして子どものころに描いた理想像と現実との乖離に病む...。ここまでが『ペンギン・ハイウェイ』を読むことによって起きる心理作用だ。皆も読んで是非病んで欲しい。

まぁ、なにはともあれ。読んでいて少年の心ってのを大事にしていきたいな、なんてことを思わされるのは必定だろう。俺もいつまでも脂身で白米食べてたいし、ゲームの攻略本を一心不乱に読んでいたい...。けど現実は、もう脂身が若干きついし、仕事ばかりでゲームやる時間もないよ...。いや、暗いな!

 

【考察】「世界の果て」の意味とは

本作において最も重要で根幹となるテーマは恐らく「世界の果て」だ。

アオヤマ君のお父さんの「世界の果ては世界の内側に潜り込んでいる」や「本当に遠くまで行くと元居た場所に戻る」なんていう印象的なセリフで語られるのが「世界の果て」。

しかし、上記のセリフも一見しただけではよく分からないし、作品の伝えたいことに関しても哲学的な問いになるので難解だ。

 

じゃあ、私の考える「世界の果て」とはなにか。考えてみたので書いていこうと思う。

本作における「世界の果て」とは”未知”のこと全てを表しているのだと感じた。つまり”自分の知らないこと全て”である。

 

世界は、”あらゆるものを内包した空間的な世界”と”個人の知覚できる主観的な世界”の二つに分けられる。普段の生活においても私たちは同じ世界に生きていながらも、それぞれはそれぞれでしか知覚できない”世界”を持って生活している。

世界をこのように定義すると、「世界の果て」とは自分の知覚できない世界の事を表していると捉えることが出来る。それは他者そのものも「世界の果て」であるし、自分の中にある未知の感情も「世界の果て」であると言える。

この考え方に基づけば、アオヤマ君のお父さんのセリフの「世界の果ては世界の内側に潜り込んでいる」は、空間的な世界に内包されたそれぞれ個人の世界の事を指しているとも受け取れるし、自分自身の中で初めて気づいた感情の事を指しているとも受け取れる奥深いセリフに思えてくる。

「本当に遠くまで行くと元居た場所に戻る」に関しても、本当に遠くまで行けば=世界の果てまで辿り着けばそれは自分の世界の一部となり、元居た場所=個人の知覚できる世界に戻ることを示しているセリフとも思える。

 

 主人公のアオヤマ君は様々な「世界の果て」と出会い研究しながら、自分の世界の象徴といえるノートの中身を増やして成長していく。

 

アオヤマ君の成長

 ごちゃごちゃ考察を語ってきたが、本作の魅力のほとんどは主人公アオヤマ君の成長だ。この作品は難解でよく分かんないっていう人はそこだけ見て欲しい。アオヤマ君がラストに「そうか、僕はお姉さんのことがほんとうに好きだったんだね」って自分の中の恋心に気づくシーン目指して読んで欲しい。んぎゃわ!ってなる。エモエモのエモじゃん!ってなる。

と言うのも、主人公はめちゃくちゃ頭も良くてなおかつ絵も上手い。向上心の塊のような子どもで、大人たちに「天才」とか「科学の子」と評されるほどの子なのだ。しかし、そんなアオヤマ君にも分からないものがある。それが恋心だ。

スズキ君がハマモトさんに恋をしているのも気づいていないし、恐らくハマモトさんから自分に向けられている恋の感情にも全く気付いていない。

それが作中の様々な体験、研究を経て自分の中にあった未知の感情である恋心に気づくのだ。しかし、その感情に気づいたときに意中の相手であるお姉さんはもう...甘酸っぱすぎて吐きそうになるストーリーだ。

作中でアオヤマ君の成長を示すアイテムとしてコーヒーも使われていた。アオヤマ君の飲み物がメロンソーダから砂糖入りコーヒーに、そしてブラックコーヒーへ変わっていく。ここからもアオヤマ君が徐々に大人に近づいていっているのが見て取れる。最後に海辺のカフェにてお姉さんとクールにブラックコーヒーを飲むシーンからはアオヤマ君の決意も見てとれてかなり良い。ていうかあそこが一番良い。アオヤマ君、んぎゃわ。

乳歯を抜くシーンも良い。乳歯が抜けるってのは大人になる一歩の代表例の一つでもあると思うが、重要なのは乳歯が抜けると痛みを伴うということだ。これが良い。大人になるために痛みを伴う、これがお姉さんとの別れも含めた本作の流れそのものを示唆しているような気がしてならない。

 

お姉さんについて

お姉さんの正体については結局、具体的な事は示されないまま物語は終わる。これに賛否が分かれていて、「分からないまま終わる。そんなのは嫌だ。」なんてアンパンマンめいた批判もある。

ただ私は言いたい。それは全く的外れな批判だと。例えば、ぷよぷよをやる時に「何故ぷよの色を揃えれば消えるのか、その説明がない。」なんて言うだろうか?そんなことを言う人はいない。なぜならぷよぷよとは”そういうもの”だからである。

本作におけるお姉さんも永遠の謎という存在として、”そういうもの”として存在している。言わば、アオヤマ君における究極の「世界の果て」として君臨しているのがお姉さんだ。これ以外に言いようがない。ないからこそお姉さんというキャラクターは存在しているのだ。

 

森見登美彦作品においては、女性という存在は男性の理解の及ばない神秘的な存在であるという描写がしばしば見られる(『四畳半神話大系』や『太陽の塔』など)。本作もそのイズムを引き継ぐ作品であるとも言えなくもない。

 

「彼女とは、遥か彼方の女と書く。女性とは向こう側だよ、我々にとってはね。」

これは森見登美彦でもなんでもなくエヴァンゲリオン加持リョウジのセリフであるが、本作におけるお姉さんとは正にこのような存在なのである。

 

ウチダ君という存在

アオヤマ君の探検仲間としているのがウチダ君だ。ウチダ君もアオヤマ君と同じく探検・研究に興味があり、いつも行動を共にしている。かわいい。おじちゃんがお菓子買ってあげようか?性的にはウチダ君が一番好きです。

ただアオヤマ君が傑物過ぎて、科学の研究に関しては常にアオヤマ君が先行している。全体を通してみてもウチダ君の果たした役割ってのは少ない。ただ、このウチダ君、実は「天才」アオヤマ君を凌ぐ能力を持っている。それは人の心を察する能力である。ウチダ君はこれが飛び抜けている。

スズキ君がハマモトさんを好きなこともいち早く気づいていたし、ハマモトさんがアオヤマ君に向ける感情にも気づいていた節がある。アオヤマ君自身すら気づいていない、アオヤマ君がお姉さんに向ける感情すらもあるいは...。

 

アオヤマ君を理系の天才とするなら、ウチダ君は文系の天才である。作者の気持ち分かりまくり男である。

そんなウチダ君は物語終盤、「死」についての考察を語る。科学では解明できない「死」という概念に向かってウチダ君なりの仮説を立てるシーンはウチダ君の無双シーンと言ってもいいのではないか。

 

死とは本当の終わり

「死」について触れるシーンが本作には何度かある。アオヤマ君の妹が「お母さんが死んじゃう」と慌てるシーン、ウチダ君が「死」について考察するシーン、お姉さんがアオヤマ君に「死んだらどうなるのだろう?」と問うシーン。

そのどれもアオヤマ君は「死」について明確な答えを見つけれなかった。どころか、アオヤマ君の心には不安や悲しみがあるばかりであった。同じく科学では解明できない「海」や「お姉さん」に対する感情とは全く異なるのが印象的だ。

 

これらは「死」は、未知である「世界の果て」とは明らかに異なることを表している。考えることも出来なくなってしまう「死」とは本当の世界の終わりとアオヤマ君は捉えているのかもしれない。

同時に天国や地獄なんて言う人間の考えた「世界の果て」は本当は無くて、「死」とは正真正銘の終わり。そんなことを作者は伝えたいのかもしれない。

 

まとめ

ということで『ペンギン・ハイウェイ』の感想を書いてみた。

小説版は森見登美彦の描写力に驚かせる作品であった。アオヤマ君は探検として街の色んな所に出向くのだが、その場面場面の想像しやすさが半端ではなかった。ここらへんの技術力はさすが森見登美彦といったところであろう。

映画版は色んな要素を省きつつも、視覚的な楽しさや分かりやすさに力を入れているのでこれも良かった。ていうか音楽も良い。これらがフックになって、哲学的な要素を含んだSF部分もすんなり入ってくる描写がされていたように思う。映画版ラストのオリジナル展開は胸熱そのものである。

序盤で述べた通り、様々な世界を含んだ本作は老若男女にウケる作品であると思う。なのでその人によって本作の捉え方も違ってくるだろう。他者の感想を聞くってのも、本作におけるまた一つの楽しみ方だ。

友人(@1995torara)と行うTwitterLiveでは自分とはまた違った感想が聞けそうで楽しみにしてる次第である。

 

 

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

 

 

 

ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

  • 発売日: 2019/12/01
  • メディア: Prime Video
 

 

 

20歳の子とリアルしたらボコボコに殴られた話

先日ゲイ用のTwitterアカウントにこんなDMが来た。

「初めまして!私は20歳大学生です!Twitter見させてもらってます!ブログも読ませてもらってます!直接お会いしてお話ししてみたいです!」

受信したDMは長いメールだったが、要約するとこんな内容だった。

へぇ、20歳...ええやん。大学生か...ええやん。ふーん、20歳か...

僕はブログを読んでくれてるという部分に惹かれ、メッセージを交わすことにした。

メールには「直接お会いしたいです!」と書かれてはいたのだが、僕はいきなり直接会いましょう!と言ってくる人間は美人局としか思えない性質なので、彼とは何度かメッセージを交わし、人となりを知った上で会おうと思っていた。

 

しかし、いざメッセージを始めると彼の返信は物凄く淡白なものの連続で全く会話にならない。「うん」とか「そうだね」っていう相槌しかメッセージで送ってこないパターンが多く会話が遅々として進まない。

それに加えてなんか会話の距離感が近い。というかいきなりタメ口になっている。あれ?これ最初にメッセージくれたのと同じ人?最初の長文DMお母さんに書いてもらった?なんて思いながらメッセージを交わしている最中も、執拗に「直接会ってみたいです」という言葉を繰り返してくる。

ある程度メッセージを交わしたところで、このままやりとりをしていても会話は進まないと判断し僕も直接会ってみるという方向に舵をきることにした。

なんだか嫌な予感はしていたが、まぁ...20歳だし...を心の合言葉に僕は予定のすり合わせを図った。

 

「土曜日の夜だったら行けるよ。」

なんて返信をし、時間を指定してもらった。

「じゃあ7月12日の13時に、新宿で。あとタバコ吸えるとこがいい。」

この子俺のメールちゃんと読んでる?昼だし、調べたら土曜でもないし、俺タバコ吸わないし。

ここまで逆の事を言われるのは初めてだ。もしかして何かの用事のついでに済ませようとしてる?ってくらいのこちらの条件無視具合。しかし、まぁ...20歳だし...を心に唱え、喫煙可の喫茶店をこちらが探し、僕が予定を合わせて会うことになった。

 

当日、指定した喫茶店に行くと、背の低い、痩せ型の顔はまぁ今風といった感じの青年が店内で待っていた。灰皿には山盛りの吸殻が既にあって、どんだけ早く来ていたんだと思った。

遅れてごめんねと謝ると、たくや(仮名)と名乗った青年は俺も今来たところですと気を遣った発言をしてくれた。タバコの吸殻の量を見るにそんなことはありえないのだが。

アイスコーヒーを飲みながら話しを聞く。たくやくんはどうやら僕のブログの記事を2つほど読んだことがあるみたいで、あとは時間が無くて読んでないと僕に伝えてくれた。よくそれでブログ読んでますと言えたな。

 

彼はメッセージの態度とは打って変わって、よく喋る子だった。彼は自分のことを「空気が読めない」「思ったら事をすぐ口に出してしまう」「友達は少ない」といった風に話してくれた。確かに、第一印象としては天真爛漫な感じでナチュラルボーン失礼といった感じだ。僕も人の前だと舞い上がってそんな感じになるので、ここではなんとなく好感を覚えた。

たくやくんはかなり色んな話を持っていた。

Twitterでみた男性に一目惚れし住んでいる場所が近いと知りすぐに会いに行ったが全然相手にしてもらえなかった話だったり、バッチバチに刺青が入った男性に憧れ、自動車学校に行くお金で刺青を入れに行ったら刺青屋の店員に止められて怒った話など、理性が好奇心に追いついていないなといった話をいくつもしてくれた。

 

そして、そんな会話の応酬をしていると気づいたのだが、彼は会話にツッコミを入れる時にめちゃくちゃ殴ってくるタイプの子だった。

僕が適当にボケると「ヤバ」と言いながらめっちゃ肩パンしてくる。小突いてくるなんてレベルではなく、普通に肩パンしてくるのだ。え?こわ。

彼の肩パンに関してはそういう攻めのツッコミスタイルね、と思い込むことにした。しかし彼のそんな攻めのツッコミスタイルはどんどんエスカレートしていき、遂には「なんすかそれ」と言いながら僕のあごひげを抜いてきた。丹精こめて育てているあごひげだったので少々ムッとしたが、相手にとっては俺のあごひげへの想いなんて知ったこっちゃないだろう。世間様にとっては俺があごひげを大切にしているなんて、藤井聡太が対局中に何食べたかくらい興味がない情報だ。

 

耐えろ、耐えるんだジョー。僕は彼の暴力に耐えて彼が飲み物を飲みきるのを待った。

そうして飲み物も飲みきり、会話も一段落といったところで僕は席を立ち「そろそろ...」といった雰囲気を出す。彼もそれを察してくれて席を立った。裏向きの伝票を持ち、急いでレジへ向かう。散々な目にあったので割り勘にしたいところだが、僕のほうが年上なのでここは僕が払うことにした。

会計は2000円くらいだった。えっ君、僕が来る前にサンドイッチとか食べた?

しかし、ここは涼しい顔をして払うしかない。まぁ、20歳だし...心の合言葉が呪いの言葉になって僕を縛り付けていた。

 

「じゃあ」

「はい」

短い言葉を交わし、別々の道を歩く。二度と会うことはないだろうと確信しながら歩みを進める。

 

酷い目にあった。もう肩が上がらない。試合後かよ。僕は何をしていたんだ、と思いながらも同時にこんな変なことばかり書いているブログやTwitterながらも誰かに見てもらっているんだなという事実を喜んだ。

人は常に誰かの影響を受けて生きていく。見たものや聞いたこと、経験したことでその人の人生は形作られていく。ちょっとクレイジーな彼だって、色んなものを吸収しながら今の性格を形作っていったんだろう。そしてその一端を僕も担っているかもしれないのだ。何かを書くっていうのはそういうことだ。僕は彼に良い影響を与えられただろうか。

なにより自分の書いたものを見てくれたってだけでも僕は嬉しいのだ。これからも人に見てもらって、少しでも笑ってもらえるようなものを書いていきたい。

そうと決まれば、まずなによりも感謝だなと思い、僕は彼のTwitterのページから「今日は会ってくれてありがとう!」とメッセージを送ろうとした。

 

ブロックされていた。

誰か人付き合いの正解を教えてください。

 

 

道中にて

お盆も折り返しに差し掛かっているが、皆さんはどうお過ごしでしょうか。

僕はお盆の前半はまさかのお仕事。しかも北海道までの出張をさせられていた。こんなコロナ渦の時期に県外への出張を命じるなんて悪魔の所業だ。鬼!悪魔!うんこ!

心の中で会社への悪口を携えながら単身、北海道へ。

 

まずは最寄り駅から羽田空港までバスで向かう。

こんな時期なのにバスの中はそこそこ混雑しており、途中から乗車した大層綺麗なOL風のお姉さんが僕の隣に座った。僕は男色家、いわゆるゲイだが綺麗なお姉さんが近くにいるとそれはそれでドキドキしてしまう。歯医者で歯科助手のお姉さんのおっぱいが当たるとそれなりに嬉しいし、歯医者のおっさんのぶっとい指を口内に突っ込まれるとそれなりに嫌な気分になったりするやつと一緒だ。人間はそんなに単純にはいかないものと痛感させられる。

しかし綺麗なお姉さんが横にいるとそれはそれで気を遣うというのもある。もし不意に眠ってしまってお姉さんの方にもたれかかってしまったら、この出張は北海道ではなく豚箱に行き先が変更されることだろう。ここは正念場だと、コンビニで買っておいた『決定版かりあげクンコレクション』を読んでなんとか眠気を退ける。やはり植田まさしは天才か?

それにしてもこのお姉さんは、他に空いてる席があるのに何故僕の隣に座ってきたのだろうか。僕が一番安全そうに見えたのだろうか。だとしたらそれは甘い考えですぜ、マダムグレートギャッツビー、なんてこともなくお姉さんの判断は正しい。僕はゲイでしかも綺麗なお姉さんの前だと照れてしまい、まともに見ることも出来やしないのですから...

 

そんなことを考えているとバスは羽田空港まで到着した。汗臭かったでしょう、ごめんねお姉さんと心の中で詫びながらバスを降りる。

時計を見てみると離陸までもう1時間を切っているところだった。時間管理が悪すぎる。僕は「のせて~~~~」とコロコロの読者欄の投稿のような勢いでチェックイン、搭乗審査を済ませ、飛行機へと乗り込んだ。

僕は三列シートの通路側の席だった。右隣の窓側には小学生の男の子が座っている。ソーシャルディスタンスの関係だろうか、真ん中の席はどこも空くようになっていた。小学生の男の子は着席するやいなや、アディダスの黒色のリュックを板についた所作で前座席の下に下ろした。この歳で旅慣れているなと僕は感心した。

すると少年はリュックから漢字ドリルとノートを取り出し、なにやら書き取りを始めた。途端に黒鉛の香りがふわりと広がる。この歳で飛行機の離陸前にそわそわしないとは...この少年、やはり出来るな...と再度感心する。

こんなに落ち着いた少年の隣でいい歳の僕がそわそわするわけにもいかない。僕は焦って鞄からとりあえず太宰治の『惜別』を取り出し黙読する。『惜別』はもう何年も前に買ったもので未だに読破できていない。もう、太宰治の文難しすぎるっピ、なんて思っていると乗務員のお姉さんが僕に声をかけてきた。インテリの雰囲気を嗅ぎつけた雌蜂による逆ナンチャレンジかと思ったが

「お客様、シートベルトが正しく装着できていませんのでお直し下さい」

小学生の男の子でもなく、25歳の大人の僕がシートベルトを正しく装着出来ていないと叱られてしまってたまらなく悔しくなった。ちくしょう、どうせ僕は旅慣れていない田舎者ですよと月に吠えつつ装着しなおす。

 

そのうち飛行機はごごごごと地響かせながら動き始めた。いよいよ離陸だ。

重心がシートの背もたれに押し付けられる感覚に不安と興奮を覚えつつも、ちらりと右隣を見ると、離陸という大イベントに際しても少年はひたすらにノートに漢字を書き取り続けている。僕はその光景に恐怖さえ感じた。旅慣れしすぎてるのではないか。もう旅の師匠と呼んでも差し支えないだろう。

その後2時間弱のフライトを終えた飛行機はやがて新千歳空港にその足を下ろした。飛行機は速度を緩めつつ搭乗ゲートに近づき、機内の電子機器制限が解除されると、少年はリュックからニンテンドーswitchを取り出して膝を抱えながらプレイを始めた。師匠にも子どもらしい面があったんすね。師匠、なにプレイしてるんですか?6つの金貨ですか?

 

墜落しなかったことを神に感謝しながら飛行機を降りる。師匠とはここでお別れだが、彼ならどこでもやっていけるだろう。グッド・バイ、師匠。俺も師匠みたいになれるように頑張りますぜ、なんて思いながら今回の目的である出張先へと向かう。そこで時間管理をミスって1時間以上遅刻したのはまた別の話で語るとしよう...

 

 

パンケーキ・ドストエフスキー

朝から美味しそうなパンケーキの画像を見てしまい、午前中はパンケーキの事しか頭に無い状態だった。

そんな事を同僚の女の子に話すと、職場の近くに美味しいパンケーキ屋さんがあると言う。これ幸いとお昼休憩に教えてくれた場所に向かってみると、目的の場所にはパンケーキ屋ではなくフレンチトースト屋が鎮座していた。

確かに人類の歴史から見ればパンケーキもフレンチトーストも微々たる差でしかないが、今日の僕のお口は完全にパンケーキナイズドされてる。

小雨が降る中街を歩くこと数分、パンケーキをメニューに掲げるオシャレなカフェをなんとか発見できた。

 

傘を表の傘たてに差していざ鎌倉と店内に飛び込んでみると、見事に女性客しかいなくとんでもない場所に来てしまったなと自分を落ち着かせながらテーブルに着く。小学生YouTuberのオフ会に参加したおじさん並に場違いな僕にも女性店員さんはお水とメニューを持ってきてくれた。性善説を信じずにはいられない。

メニューを開くとエレクトリカルパレードのような目に鮮やか、を通り過ぎて目に毒なサイケデリックなパンケーキが並んでいた。さすがにこれは柄じゃない。炭坑で一日働いた後に労働者が泥だらけの作業着を着たままクラシックラガー片手につついていても違和感のないパンケーキを探すと、「シンプル」というなにも装飾を施されていない名の通りの信じられる奴が見つかったのでそれをアイスティーと一緒に注文した。

 

1分も経たないうちにアイスティーと小さいお菓子(お通しみたいなものらしい)が運ばれてきたが、僕はあえてそのお通しには手を付けなかった。万全な状態でパンケーキを迎えるためだ。朝から鮭おにぎりと鶏のタタキとゆで卵と6Pチーズと蒟蒻畑しか食べていない僕のこれまでの努力を失うわけにもいかないのでね。

 

やがて本命のパンケーキもやってきた。それは一目見ておおと声が出そうになるくらい美味しそうだった。

白い皿の上に乗るシンプルなパンケーキはレシート入れ過ぎた財布のようにふっくらと厚く焼き上がっている。もはや神々しさすら感じる。

惜しむらくは、僕の座ってる席がガラス窓を通して通りからも丸見えの場所である点だ。おしゃれとファンシーを詰め込んだ店の窓から見えるのが24歳汗臭ホモのパンケーキに食らいついている姿なんて「悲劇」「太りすぎている」「金返せ」と怒鳴られても仕方のないシチュエーションだ。

いや、たじろいではいけない。

隙を見せれば、デブを罵る心の声に侵入を許してしまう。ここは毅然とした態度で、パンケーキしか口にしたことが無いような貴族の振る舞いで食そうと覚悟を決めてナイフとフォークを手に取る。

 

ナイフでパンケーキに切りかかるも、柔らかすぎてまったく切れない。名刀正宗も泣いておるわ。四苦八苦しつつ一口分を切り分けて、添えてあるバニラアイスまで添えちゃったりしつつ口に運ぶ。

こ、こいつはうめぇー!!ゲロ以上の美味さだ!!

流石に比較対象が低すぎたが、ほんとに美味い。

今まで食べてきたホットケーキとはまるで違う。フワフワ感がまるで違う。小麦粉1割、空気9割で焼いてるんじゃないかと言うほどのふっくら感だ。

甘さも丁度良く、香ばしい風味でお口の中が幸せいっぱいだ。例えるなら、そう、今まで食べてきた卵焼きの中でも一番美味しい卵焼きの更に一段上の美味しいやつ、の美味さだ。

そんなわけで美味い美味いとホットケーキを平らげ、アイスティーに付いててきたお菓子もひとくちで頬張り、完食。大変満足だった。

 

一息つきながら水を飲み、そろそろお会計をと思っていたところで、女性店員がお冷のおかわりを注いでくれた。そんなに僕に帰ってほしくないのか、彼氏はあまり君の相手をしてくれてないのカナ?と思いつつもまぁ午後の仕事もそこまで差し詰まってもないしいいかとkindleで本でも読みながら仕方なくしばらくそこで過ごした。

追加のお冷も空になったので今度こそ本当に帰ることにして、レジで料金を払うと女性店員が「傘忘れないようにお気をつけください」と声をかけてくれた。おいおい、そこまで気配りするなんてほんとに気があるのか?とニンマリしながら店を出て傘立てを見ると僕の傘はなかった。盗まれていた。

更に会社に戻ると「昼休みとり過ぎだ。」と厳罰をくらった。

そう、これが、冴えないデブホモがパンケーキを食べるという罪に対する罰だ。覚えておけ。

千と千尋の挿入後のアナルくぱぁシーン

千と千尋の神隠しが映画館で観れるって最高ですよね。僕、千と千尋の神隠しジブリ映画の中で一番好きなんですよ。幼い時に映画館で観た記憶はおぼろげにあるんですが、またこうして映画館のスクリーンで観られるっていうのはめちゃくちゃ嬉しいです。腐れ神が油屋にやって来て、汚れた姿から本来の河の神に戻るシーンとか良いですよね。色んなメッセージ性が詰まっていて、印象的なシーンの一つです。

 

そんな前置きはさておいて、今日は僕が大好きなノンケものAVでちょっと我慢ならんというか気になる点があるのでそこのお話をさせてもらいたいと思います。

 

改めて、僕、ノンケもののAVが大好きなんですよね。思えばゲイの世界に入るきっかけとなったAVもノンケものでした。湘南ナンパでした。ノンケものはかなり良いです。なんというか、あの初心な感じ。たまらんです。

昔、パソコンでノンケものAVを自分で編集してオリジナルAV作ってるときが人生で一番楽しかったかもしれません。あの時間は宝物です。

 

ただ、そんな大好きなノンケものAVでも気になる点が一つあります。それは...

 

挿入した後にケツをアップで映すと血映ってるところです。

 

もうね、これほとんどの確率であります。普遍の真理としてあります。動詞は現在形。

 

僕は血が怖いんですよね。動物の本能として血が怖い。これが悟空とかべジータの血だったら怖くないけど、初心なノンケのケツ穴切れ血は怖いんです。

どんだけプレイが良くて興奮していたとしても、挿入後のケツ穴丸見えシーンで血が見えてたら急に冷めます。心拍数ダダ下がりです。

 

まぁ、ノンケものなのでケツ初めてで切れちゃうってのは分かりますよ。ただね、それでもね、

一回拭こう。そう思うわけですよ。編集どうにでも繋げれるんだから、一回拭いてからアナルくぱぁしよう。そう思うわけです。

 

アナルくぱぁシーンなんて皆大好きなものじゃないですか。あの、穴の感じ...お下品な事はあんま言いたくないので、皆まで言わずとも皆さんなら分かってくれると思います。あの...穴が...ねぇ?あの...動いてるとこ、いいですよね...

 

ただそこに赤い血がタラーっと垂れてようものなら、目塞いじゃいます。それで、気付いたらエンディング。これ大問題ですよ。重大な欠陥構造。リコール問題。

 

この前見たノンケものなんて凄い良かったんですよ。まさと君って子だったんですけどね。

顔はやんちゃ系で肌はこんがり小麦色。筋肉の上にちょっと脂肪乗ってる感じで、小中高と野球部。そして、遊ぶ金欲しさにオナニー、キス、フェラ、挿入と無邪気にゲイセックスに堕ちていくわけですよ。1億点!!!!

ただ、そんなまさと君の挿入後のアナルくぱぁシーン。

 

血!分かる?血!!!

 

いきり立ってた俺の坊も魔法かけられた後のねずみ坊に早変わり。「ちぅ」って鳴いてます。

それまでずっとあのでかでかとした坊だったんですよ。それが

血!分かる?血!!!

になった瞬間、「ちぅ」ですよ。誰かなんとかしてくれ。私の坊を返しておくれ。

 

分かりますよ。そりゃノンケなんですからケツ初めてで切れますよ。

ただ、ノンケものって何故かほとんど臆面もなく血出てるとこ映してくるんですよ。

「えーそんなに出てこないでしょ」っていう童もいるでしょうけど、あなた達が見てるのはノンケものの皮を被ったバリバリのゲイセックスの可能性があります。ドネコが出てるバッタもんです。

 

切れるのはもうしょうがないにしてもね、それ拭いてくれんか?と思うわけです。むしろ、ノンケものという事を強調する為にわざと血拭いてないのではないか、という訝しみまで頭を過ぎります。

もしそうだとしたら、血の描写はいらないです、と声を張り上げて言いたいです。こっちだって処女厨じゃないんで、そこまでの描写は求めてないんです。

ノンケものだという前提があるなら、もう血は省略しちゃいましょう。関係代名詞みたいに。

メーカー側が”ノンケ”と言うならば、もうこちらは信じます。本人が「男とやるのが初めてなんです///」と言えばそれは初めてなんです。信じることが人と人の関係の根幹なんだと思うんです。信じればきっと不可能はないと思うんです。信じれば僕らはいつだって繋がれる。

だから俺は信じて、言いたいです。

 

なおと君、ゲイ堕ちして2本目出てくれよ!!!

 

以上です。ありがとうございました。

アマプラで観れる映画・バラエティをガチで喋りながら紹介

はい、今回はねちょっと趣向を変えて音声入力使っておすすめ映画でも紹介していきます。最低限の推敲はします。点とか丸とかは音声入力出来ないんで、そんぐらいは最後にこっちでうちます。改行もできないんですよ。改行改行ほらね

改行出来るんかい改行改行できないんかい、もうわからん。とにかく始めます。

 

主にアマゾンプライムで見れるものを中心に紹介していきます。

まず最初は、あー思い出せんな。プレイリスト直に見ながらはなそかな。すごいですねこれ。音声入力誤字少ないですね。今後もこれにしよかな。

まず最初はね、これですね。千鳥の相席食堂。

ここにリンク貼っといてね、俺。相席食堂は、当たり外れあるけどおもしろいとこはとことん面白いです。野生爆弾出てくると大抵面白いからそこだけでも見たら良いと思います。あとはきよし師匠とDJ KOOの回はずっと面白いね。研ナオコの回は個人的にすごい好き。せいじのとこも面白い。

 

逆に、千鳥のハッピーチャンネルってのはすごい面白くない。

テレビ千鳥とか相席食堂とか地上波でやってるのは面白いのばっかなんだけど、このアマゾンオリジナルみたいなやつはほんとに面白くない。お笑いがしつこい。けど、しつこいの目指して失敗してる漢字なんで挑戦的だから良いと思う。千鳥にもちゃんと面白くない時あて安心する。

うわ、後からリンク入れるの面倒だな。あー、まあいいか。頑張れ、俺。

 

面白いの紹介するんだった。えーとね、これ。これ面白い。野生爆弾のワールドチャネリング

Amazon.co.jp: 野性爆弾のザ・ワールド チャネリングを観る | Prime Video

これシーズン3まであると思うんだけど、全部おもろい。これの為だけにアマゾンプライム入ってもいいくらい面白いです。おすすめだよ。

 

あとね、ああこれね。千原トーク

Amazon.co.jp: 千原兄弟「チハラトーク」セレクトを観る | Prime Video

これはね、面白かった。一時期からジュニアがてつみてっていう、いや違うよ。てつみち、ね。誤字ね。初めて誤字出した気がする。俺の滑舌の問題かも知れんけど。とにかく、てつみちってうう芸人の話をジュニアがしだしたあたりから面白くなくなった。ジュニアずっとてつみちの話しか専門。専門。しないもん。相当かわいがってんだな、とは思うんだけど。

 

まあバラエティはこれくらいにして。

海外ドラマとかね。見ますかね。

最近見たのは、これ。

マクマフィアと4ブロックス

Amazon.co.jp: McMafia - マクマフィア シーズン1 (吹替版)を観る | Prime Video

Amazon.co.jp: 4ブロックス - シーズン1: generic

どっちもマフィア物なんですけど。つまんなくなりそうにないもの見たいときはマフィア物見たほうがいいです。銃撃ってればとりあえず面白いのは万国共通です。メンインブラックとかね、スリー見ました?あの平行世界を同時に、同時にというか並列観測できるみたいなキャラめちゃいいですよね。多分あの役者はゴッサムに出てたペンギンです。

 

あと最近見たやつでは。これもか。The Loopってやつですね。

1話完結ものではあるんだけど、うっすらと背景繋がってるんですよ。このドラマいいです血行マジで良いです。結構。こっちね。けど結構も良くなるレベルで面白いです。結構。おい、最初の結構出せよ。

 

あとは、これ。これ映画なんですけどね。

Amazon.co.jp: フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(字幕版)を観る | Prime Video

これも良かったですね。ずっと奇跡。フロリダ行きてえなてなります。ていうかこの監督作るやつ対外良いです。チワワは見ていたってやつも良いです。しおう最高。天才です。しおうってなんだい。超ね。お、超。一発。

 

あとはー、帰ってきたミスターダマーは笑える漢字で良かったな。

Amazon.co.jp: 帰ってきたMr.ダマー バカMAX!(字幕版): ジム・キャリー, ジェフ・ダニエルズ, キャスリーン・ターナー, レイチェル・メルヴィン: generic

ずっとボケ続けてる漢字。隅々までボケてる。ツッコミはいないけど。ジムキャリーって大体こういうコミカルな映画に出てる印象あるな。マスクとかね。マスク好きだったなー、昔。マスクはキャメロンディアスが可愛すぎるのが凄いよ。めちゃくちゃな設定もキャメロンディアスがいるから説得力がある。ドリアンがマスクうっかり脱いじゃうとこも、「キャメロンディアスが可愛いから」で説明ついちゃう。最後むちゃくちゃキスして終わるってのもいい。キャメロンディアスとむちゃくちゃキスして終わるって最高のハッピーエンドだと思う。キャメロンディアスキャメロンディアスうるさいな。キャメロンディアスの入力の正確性やばいな。キャメロンディアス絶対誤変換ない。キャメロンディアス。いいね。外さない。キャメロンディアス。リックディアス。いいね。

 

脱線しました。けどこれくらいにしとくかな。

あー待って。これもいい。ドラマね。

Amazon.co.jp: ロッジ49を観る | Prime Video

なんかどこが良いってわけじゃないけど、ずっと見てられる。娯楽としては一番良いんじゃない。

あとはねー、

いやここまでにしとくか。後でリンク入れるの面倒だし。じゃあとりあえずこれで。ではまた今度!次はちゃんと書きます!多分!

 

VRAV(ゲイ向け)体験レポ

VRのAVがエロすぎて思わず外出先でシコっちまった...」

そんなことを幼馴染のKがTwitterで呟いていた。大の大人が全世界に向けて出先でシコったことを恥ずかしげもなく報告してしまうほどの力がVRAVにはあるらしい。少し興味をそそられた。いや、かなり興味をそそられた。

しかし、Kは異性愛者であるかしらして奴の言うVRAVはもちろん男女ものである。マイノリティである我々ゲイ業界、そんなニッチの塊である僕たちにVRAVなんて最先端でエポックメーキングな代物があるわけ...

ありました。

Twitterでフォロワーに聞いてみたらあるらしい。というわけで今回はVRAV(以下VRと表記します)の体験レポブログだ。みんな!ズボンを脱ぐ準備は出来たか!!??

 

早速、ハンクチャンネルさんにあるVRを3本ほど購入して見てみた。感想としては、「平均すると相当エロい」である。僕の下半身が「これはヤバイぜ!」とプライマルスクリームをあげ狂喜乱舞するシーンもあれば、VR独特の雰囲気に思わず笑ってしまうシーンもあり、それらを足して2で割り通常のAVと比べた感想を述べると「平均すると相当エロい」になる。つまり、安定感はないがエロいとこはとことんエロいということだ。

 

今回は、1本目にみた『ガチムチエロボディ!!海陸(かいり)くん22歳!!チンコも飛び出す3Dオナニー!!!!』を中心に詳しいレポを書いていこうと思う。

 

https://www.hunk-ch.com/movie_detail.php?code=RB3D-0001


まず、VRの醍醐味はなんといっても男優(海陸くん)が近くにいるという状況を作り出し、そこに没入できる点だ。通常のAVは、カメラマンが撮影した映像を見て、メインの男優が犯されているのをメタ視点で観測し、こいつはエロいと認識し、然るべきタイミングで処理をするのが常だ。

しかしVRはこれの全くの逆。僕たちがAVの世界に没入していくことができるし、作り手もその意識を持って作っている。なので、メタ視点は一番の邪魔者になる。

ここら辺の事情から、観賞に当たっては早送りなどの外界からの操作は出来るだけ行わないほうがいい。現実にはそんなことは起こらないからだ。

VRゴーグルスマホから外してシークバーをサッと動かせば、海陸くんをいきなり全裸にさせることは可能だ。だが、そんなことをするなら黙って通常のAVを見ていたほうがいい。VRは我慢できる大人の為につくられたものだ。コース料理をいきなりメインから食べようとするのは大変なマナー違反だと思いませんか?

 この海陸くんのVRも前半は普段であればはすっ飛ばしてしまうような会話のシーンなんかがある。しかし、VRだからこそこんなマニアしか好まないようなシーンにも大きな意味がある。ここにかける時間は、僕たちを海陸くんとの濃密な空間に没入させる為の重要な仕掛けなのだ。

 

ここまで書いて分かった。VRの世界観は落語の世界観と非常に似ている。

落語の世界においても噺家の力量と同じくらい必要とされるのが、観客が落語の世界にのめり込んでいく主体性だ。

落語の面白さってのは噺家の世界に引き込まれて、またこちらから入り込むことで初めて分かってくる。双方が維持する世界で笑ったり興奮する世界を楽しむ。そこに自分から俯瞰して滑稽だなとメタ視点を取り入れるのは何よりの愚行。

それに最初は面白くなくて、服を脱ぎ始めたところから面白くなるところも落語とそっくりと言える(ここが言いたかっただけなのかもしれない)。

 

さて、前半からのシーンですっかりVR世界に没入し、海陸くんとのデートを楽しんだ後はやっと本番。

遂に、海陸くんが脱ぐ...!!

すっかり世界に没入している僕は、恭しく服を脱ぐシーンで興奮しまくる。正直、ここが一番興奮しました、はい。

 

歌人雪舟えまが小説『幸せになりやがれ』のなかでこんな文を残している。

「好きな人が服を脱ぐ仕草は何度見てもよいもので...」

 

よいもので!!!!!!これは!!!!!よいもので!!!!!!

いつもなら「早く脱げや!」と思ってしまう冗長なシーンもVRでは大興奮。これは...恋...なのかな?と錯覚してしまうほどのドキドキを味わえる。

 

ここから服を脱いだ後は、オナニーシーンへと入るのだが、ここで問題提起を一つ。

このVR、というより僕が見た3つのVR全てがそうなのだが一貫して絡みが無い。全てオナニーシーンでフィニッシュ(ダブルミーニング)である。なので、こちらの視点は男優のオナニーを見つめる覗き魔に終始することになる。

それはそれで興奮材料の一つになるものだが、やはり絡みが見たい...!

オナニーシーンだけってのもグッドでイナフなのだが、僕たち大人はもうオナニーシーンだけで終われるような初心さは既に遥か昔に捨て去っているのだ。

しかし、どこを探しても(ハンクチャンネル内だけですが)絡みがあるVRは出てこない。確かに絡みってなるとVR世界への没入の難易度がグッと上がるのは確かだ。


あくまで、VRで見れる視点ってのはカメラの視点であることは事実として忘れてはならない。どこまでいってもそこは作られた世界であり、自分自身が海陸くんとSEXできる世界線ではない。そんなものはどこの世界線にも存在しない。

よって、絡みが発生した場合に問題となるのは竿役のちんちんはどうしても自分のものではない、ということだ。自分のそれは屹立しているのは確かだが、VRで見える屹立したそれはカメラマンのちんちんなのである。

ここがメタ視点を入り込ませる余地となってしまう。「これ誰のちんぽや!!」となった瞬間、海陸くんとの淡い思い出は俺のものではなく、映像を撮影しているカメラマンのものであると気づいてしまうのだ。

更に、絡みが発生する以上、こちらも動かねばならない。海陸くんのちんちんをしごいたり、乳首を舐めたりしてあげねばならない。ここにカメラマン(実際の竿役)とのシンクロ率問題が出てくる。

そう、絡みのあるVRの世界へと没入するには、カメラマンとのシンクロ率を上げるしかないのだ。まるでエヴァンゲリオンだ。

エヴァンゲリオンとは人造人間である(ロボットって言うと怒られるよ)。詳細な説明は省くが、エヴァの力を最大限に発揮するためには、パイロットとのシンクロ率を100%に近づけねばならない。VRもこれと一緒で、VRゴーグルを通して竿役というエヴァンゲリオンに乗り込み、シンクロ率を100%に近づけることで力は発揮される。

しかし、現代の技術では恐らくこれが非常に難しいのだ。

なので、絡みのあるVRに挑戦しようとするとダミープラグを使用するしかない。竿役をダミープラグに任せ、自分はトウジが握り潰されるのを眺めるしかないのだ。どうなってんだこれ!なんでなにもしてないのに動くんだ!と思いながら、自分も海陸くんの乳首を舐め続けるのは中々に難しいだろう。

 

製作者側も上記の問題を理解しているからこそ、オナニーシーンのみのVRでいくという英断を下したのだろう。憎いぜ、製作者サイド。

しかし、だからこそ僕はVRの世界に没入できたと言える。グッジョブ、製作者サイド。

 

そして、動画はいよいよクライマックスへ。

遂に海陸くんが、イク...ッ!!

男優がイク時に合わせて一緒にイクなんていうテクニックが通常のAVを見る際でもあるが、このテクニックをVRオナニーシーンで使うと、とんでもないことになる。

その没入感から、ほんとに"一緒にイク"ことができるのだ。その達成感、開放感といったら通常のAVのそれではない。天地開闢に似た衝撃が身体を襲うことを覚悟して欲しい。

 

ただ、その開放感がいつまでも続くわけではない。そうここはVR世界。作り物の世界である。終わりの決められた始まりなのだから、終わらせなければいけない。

終わりとはつまり、VRゴーグルを外し現実世界に戻ることである。ゴーグルを外し、自らのそれを握りながら眺めた久しぶりの現実世界はなんだか、いつもより少し虚しく思えた。何て言ったらいいのかな...とにかく、凄い脱力感があるというか..........

 

ごめんなさい、こういう時どんな顔すればいいか分からないの...