OTNK日記

20代。ゲイ。種々雑多な日記。

20歳の子とリアルしたらボコボコに殴られた話

先日ゲイ用のTwitterアカウントにこんなDMが来た。

「初めまして!私は20歳大学生です!Twitter見させてもらってます!ブログも読ませてもらってます!直接お会いしてお話ししてみたいです!」

受信したDMは長いメールだったが、要約するとこんな内容だった。

へぇ、20歳...ええやん。大学生か...ええやん。ふーん、20歳か...

僕はブログを読んでくれてるという部分に惹かれ、メッセージを交わすことにした。

メールには「直接お会いしたいです!」と書かれてはいたのだが、僕はいきなり直接会いましょう!と言ってくる人間は美人局としか思えない性質なので、彼とは何度かメッセージを交わし、人となりを知った上で会おうと思っていた。

 

しかし、いざメッセージを始めると彼の返信は物凄く淡白なものの連続で全く会話にならない。「うん」とか「そうだね」っていう相槌しかメッセージで送ってこないパターンが多く会話が遅々として進まない。

それに加えてなんか会話の距離感が近い。というかいきなりタメ口になっている。あれ?これ最初にメッセージくれたのと同じ人?最初の長文DMお母さんに書いてもらった?なんて思いながらメッセージを交わしている最中も、執拗に「直接会ってみたいです」という言葉を繰り返してくる。

ある程度メッセージを交わしたところで、このままやりとりをしていても会話は進まないと判断し僕も直接会ってみるという方向に舵をきることにした。

なんだか嫌な予感はしていたが、まぁ...20歳だし...を心の合言葉に僕は予定のすり合わせを図った。

 

「土曜日の夜だったら行けるよ。」

なんて返信をし、時間を指定してもらった。

「じゃあ7月12日の13時に、新宿で。あとタバコ吸えるとこがいい。」

この子俺のメールちゃんと読んでる?昼だし、調べたら土曜でもないし、俺タバコ吸わないし。

ここまで逆の事を言われるのは初めてだ。もしかして何かの用事のついでに済ませようとしてる?ってくらいのこちらの条件無視具合。しかし、まぁ...20歳だし...を心に唱え、喫煙可の喫茶店をこちらが探し、僕が予定を合わせて会うことになった。

 

当日、指定した喫茶店に行くと、背の低い、痩せ型の顔はまぁ今風といった感じの青年が店内で待っていた。灰皿には山盛りの吸殻が既にあって、どんだけ早く来ていたんだと思った。

遅れてごめんねと謝ると、たくや(仮名)と名乗った青年は俺も今来たところですと気を遣った発言をしてくれた。タバコの吸殻の量を見るにそんなことはありえないのだが。

アイスコーヒーを飲みながら話しを聞く。たくやくんはどうやら僕のブログの記事を2つほど読んだことがあるみたいで、あとは時間が無くて読んでないと僕に伝えてくれた。よくそれでブログ読んでますと言えたな。

 

彼はメッセージの態度とは打って変わって、よく喋る子だった。彼は自分のことを「空気が読めない」「思ったら事をすぐ口に出してしまう」「友達は少ない」といった風に話してくれた。確かに、第一印象としては天真爛漫な感じでナチュラルボーン失礼といった感じだ。僕も人の前だと舞い上がってそんな感じになるので、ここではなんとなく好感を覚えた。

たくやくんはかなり色んな話を持っていた。

Twitterでみた男性に一目惚れし住んでいる場所が近いと知りすぐに会いに行ったが全然相手にしてもらえなかった話だったり、バッチバチに刺青が入った男性に憧れ、自動車学校に行くお金で刺青を入れに行ったら刺青屋の店員に止められて怒った話など、理性が好奇心に追いついていないなといった話をいくつもしてくれた。

 

そして、そんな会話の応酬をしていると気づいたのだが、彼は会話にツッコミを入れる時にめちゃくちゃ殴ってくるタイプの子だった。

僕が適当にボケると「ヤバ」と言いながらめっちゃ肩パンしてくる。小突いてくるなんてレベルではなく、普通に肩パンしてくるのだ。え?こわ。

彼の肩パンに関してはそういう攻めのツッコミスタイルね、と思い込むことにした。しかし彼のそんな攻めのツッコミスタイルはどんどんエスカレートしていき、遂には「なんすかそれ」と言いながら僕のあごひげを抜いてきた。丹精こめて育てているあごひげだったので少々ムッとしたが、相手にとっては俺のあごひげへの想いなんて知ったこっちゃないだろう。世間様にとっては俺があごひげを大切にしているなんて、藤井聡太が対局中に何食べたかくらい興味がない情報だ。

 

耐えろ、耐えるんだジョー。僕は彼の暴力に耐えて彼が飲み物を飲みきるのを待った。

そうして飲み物も飲みきり、会話も一段落といったところで僕は席を立ち「そろそろ...」といった雰囲気を出す。彼もそれを察してくれて席を立った。裏向きの伝票を持ち、急いでレジへ向かう。散々な目にあったので割り勘にしたいところだが、僕のほうが年上なのでここは僕が払うことにした。

会計は2000円くらいだった。えっ君、僕が来る前にサンドイッチとか食べた?

しかし、ここは涼しい顔をして払うしかない。まぁ、20歳だし...心の合言葉が呪いの言葉になって僕を縛り付けていた。

 

「じゃあ」

「はい」

短い言葉を交わし、別々の道を歩く。二度と会うことはないだろうと確信しながら歩みを進める。

 

酷い目にあった。もう肩が上がらない。試合後かよ。僕は何をしていたんだ、と思いながらも同時にこんな変なことばかり書いているブログやTwitterながらも誰かに見てもらっているんだなという事実を喜んだ。

人は常に誰かの影響を受けて生きていく。見たものや聞いたこと、経験したことでその人の人生は形作られていく。ちょっとクレイジーな彼だって、色んなものを吸収しながら今の性格を形作っていったんだろう。そしてその一端を僕も担っているかもしれないのだ。何かを書くっていうのはそういうことだ。僕は彼に良い影響を与えられただろうか。

なにより自分の書いたものを見てくれたってだけでも僕は嬉しいのだ。これからも人に見てもらって、少しでも笑ってもらえるようなものを書いていきたい。

そうと決まれば、まずなによりも感謝だなと思い、僕は彼のTwitterのページから「今日は会ってくれてありがとう!」とメッセージを送ろうとした。

 

ブロックされていた。

誰か人付き合いの正解を教えてください。