OTNK日記

20代。ゲイ。種々雑多な日記。

この記事には38回「おっぱい」が登場します。

東は東京、西は大阪。将軍様のお膝元と天下の台所に挟まれた愛知県の名古屋市というところに住んでいる。三大都市としては福岡と絶賛争議中であるらしいが、一応日本の三大都市であるらしい。そして都市圏には繁華街というものが存在する。人が集まれば金が動く。金は欲望に基づいて浪費される。繁華街に蔓延る欲望といったら酒とおっぱいであろう。

自分も時々繁華街に赴く。大体酒を飲むためだ。人との付き合いもあるが、それも大体酒を飲むことに終始するだろう。そして繁華街に赴くと大体遭遇するものがある。キャッチである。

飲みですか、おっぱいですか。

お兄さん、おっぱいどう?

さあ、おっぱいおっぱい。

自分の行く街の性質上、道を歩けば大体おっぱいの勧誘がところ狭しと並んでいる。飲みに行き始めて2年ほどだが、今まで生きてきた20年の通算より圧倒的に多いおっぱいがここ2年で投げかけられている気がする。調子がいいと一つのお店を目指す道すがらで片手では足りないほどのおっぱいを勧められる。エロそうな顔をしてるからだろうか。蜜に群がる蟻のように外国人のお兄さんが寄ってくる。おっぱいがいっぱいだ。

そんなおっぱいに自分はつられたことはない。当たり前っちゃあ当たり前である。当方男色故、女性のおっぱいには余り興味はない。たとえどんなに酔っぱらっていたとしても、おっぱいの勧誘をさりげなく断ることができる。

しかしおっぱいには興味はないが、キャッチの人には興味が出てくる。性的な意味ではない。言うならばおっぱい勧誘の際の語り口に、だ。おっぱいがさぞ男子共通のトレジャーであり、ゴージャスでプレシャスなサムシングのように語る。おっぱいでお金をとるのは当たり前であり、おっぱいに惹かれるのは当たり前といった語り口だ。新鮮な価値観である。「お菓子あげるからお譲ちゃん車に乗りなよ」コンビニで数百円出せば買えるような安い誘い文句で子どもを誘う。イケナイ大人のやり口だが、おっぱいも良く考えれば同じようなやり方である。

おっぱいにはそれほどの魅力があるから故にこの常套句も成立するのだろう。子どもにとってのお菓子は、大人にとってのおっぱいなのだ。しかし、自分とてアンチおっぱいではない。余り興味がないだけで、おっぱいに真っ向から中指を立てるほどの人間ではない。

そして、世の中には相当のおっぱいホリックも存在する。街中で「How about おっぱい?」と聞かれて、「おっぱい!おっぱい!」となってしまう人間のことだ。キャッチの彼らはそんな人たちを狙っているのだろう。「仕事疲れたな…おっぱい」「お腹空いたな…おっぱい」といったおっぱいシナプスが相当に発達した人間には、おっぱいは滋養強壮の効果でもあるのだろう。ビタミンやタウリンを摂取するのと同義でおっぱいを摂取するのだろう。

そんな人たちを狙うキャッチの方々は、どのような経緯であの繁華街に集まったのだろうか。恐らく彼らにもそれぞれ生活があるし、それぞれ経済をまわしている。自分がおっぱいの勧誘に靡かないことで彼らのお財布の紐がきつくなっているのだとしたら申し訳ない限りである。同情に似た感情に誘われていつか自分もあの街のおっぱいの渦に巻き込まれてしまう日が来るのだろうか。網状脈のように張り巡らされたおっぱいキャッチの包囲網にかかってみるのも悪くないかもしれない。……いやないか。

しかし彼らおっぱいキャッチの「おっぱいいかがですか」の先になにがあるかは気になっている。おっぱいの仮面を脱いだ彼らの素顔を見てみたい気もする。

 

おっぱい

おっぱい

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