男はいつまでたっても中二病。
中二病というものをご存知だろうか。
思春期特有の万能感により、思想・行動・価値観が過剰に発現した病態のことを指す。
中二病の名の通り、中学2年生(14歳前後)で発病することが多い。そして多くは年齢を重ねることで自然治癒していく。しかし、稀に慢性化・重篤化し、社会生活を送る上での障害になることもある恐ろしい病気だ。
この手の病気は、男の子ならだれしも起こるものだと考えている。しかし、その病態は様々だ。それまで真面目だったのに急に悪ぶってみたりとか、いわゆる孤高を気取ってみたり、急にサブカル系の趣味に目覚め洋楽を聴いてみたりたりと、表面に出る症状はそれぞれの個性があると言って良い。
それは個々人が思春期に影響を受けたものによって千変万化する。いわゆる憧れが男の子の青春を作り出すのだ。
自分も勿論この病気に罹った。いや、今もそれは継続中だろう。そして、自分が思春期に大いに影響を受けたもの。それはやはり明確に一つある。
BUMP OF CHICKENである。
以前に彼らの今についてちょろっと記事を書いた。これを読んでくれたら分かるが、藤原基夫のささくれだった感性に自分の中二病は共鳴していた。
あのオーイエーアハーンの中から自分は最高のメッセージを藤原基夫から感じ取っていたのである。
そして自分の当時の価値観に最高に影響を与えた歌が一曲ある。
5thアルバム『orbital period』8曲目に収録されている「時空かくれんぼ」という歌である。
とにかく歌詞を一部貼るので見て欲しい。感じ取って欲しい。昔の中二病の感性で。
安心すると不安になるね 例えば 今
だから今を未来の外れに 置いて忘れよう
そう思った過去 繰り返した 今
温かいものは 冷めるから それが怖くて 触れられない
貰わなければ 無くす事もない
もういいかい過去 まぁだだよ今
隠れる場所はどこであろうと 常に世界の中心だから
すぐに見つかってオニにされるよ ずっと探す側のかくれんぼ
君に会わなきゃよかった 何も言わなきゃよかった
輝くものは照らすから それが怖くて近寄れない
見つめなければ 見られたりしない
泣かなかった過去 泣きそうな今
絶望すると楽になるね 例えば今
だから今を未来の果てまで 傘代わりにして
逃げてきた過去 捕まった今
お分かり頂けただろうか。そう、この歌詞はある論法を濫用することで成り立っている。それはいわば「戦わなければ負けない」理論である。
貰わなければ無くす事もない
見つめなければ見られたりしない
この二つの歌詞はそれがよく現れている。言葉の端々を取ってなんとなく理解させられる良い歌詞である。
始まらなければ終わらないし、生まれなければ死なない。極端に言えばこういうことだ。究極のネガティブでありながらも、しかし負けていない。死なないし終わらない。
この理論に、思春期ど真ん中の自分は最高に感化された。これぞ哲学だと、後の先をとってこそのフィロソフィーがあると納得していた。
この理論をそのままに受け取ってしまった自分。そりゃあなんとも斜に構えた少年に出来上がってしまった。
しかし、藤原基夫が伝えたかったのはこんなことじゃないだろう。おい少年、おまえは藤原基夫の事を、BUMP OF CHICKENのことをなんにも分かってないんだぜ?昔の自分に伝えてやりたい。
その証拠にこの歌の締めくくりはこうなっている。
隠れる場所はいつであろうと 僕の心の中だったけど
君を見つけて君に隠すよ ずっと探さなくてもいいかくれんぼ
君も怖いなら僕に隠れて どこも探さなくていいここにあるよ
すぐに行けるよ なぜなら僕は君の心のなかでかくれんぼ
君に会わなきゃ 今すぐ会いに行かなきゃ
急いで行かなきゃ もう一度ちゃんと言わなきゃ
「戦わなければ負けない」ことよりも「だれかと戦う」ことに結末を置いている。そうそう、こういうことなんだよ。藤原基夫とはこういう男なのだ。中2の自分に伝えてやりたい。
負けないために戦わないでおく。知らないでおくために興味を持たないでおく。でもそれは負けることや無知なことより愚かなことだ。なにもしないから負を知らないのでは、何も語れない。だからせめて、誰かと一緒に戦おう。
拡大解釈が過ぎる気もするが、この歌の本質はこういうことだろう。
いつのまにか歌詞解釈ブログみたいになっているが、要はなんでもやってみようってことだ。前にこんなブログを書いている。深夜のテンションで書き出したブログだった気がする。
やってみよう。どうやらここ数年でBUMPからWANIMAに価値観が変わったようだ。
なんか色々書きすぎて本来の着地点がなんだか忘れてしまった。今回の結末は着地はさせない。オチなんてありません。それぞれの感性に任せていきたい。
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